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重病以来ずっと病みがちであった紫の上は、出家して命あるうちは仏道に専念し静かに眠りにつきたいと願っていたが、源氏は世を捨て離れて暮らす事を考えるだけでも辛く、それを許さなかった。 秋草が咲き始め、萩がひときわ見事に開花を見せる頃、紫の上を見舞に里帰りをしていた明石の中宮と源氏の見守る中、源氏を残して逝く事だけを心残りに紫の上の命は静かに消えた。 幾日経ったのか、昼夜の区別もつかぬ程嘆き悲しみ、魂の抜けた源氏は夢にさえ現れてはくれぬ紫の上を想い一層悲しみは増すばかりであった。 一周忌を終えた頃源氏は、身辺の整理を始め、紫の上との思い出の手紙も全て処分し、浄化された世に飛び立つ様に出家する決意をするのであった。
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